妄想お化け☆ぱーとつー
えっちな表現がたまにある、ラノベ系小説を書いています。ノーマルな小説も読んでみたい方は、本館も覗いてみてください。
☆目次☆
●ローファンタジー●
「魔術師よ、私の心に雨を降らせて」
【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】
【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回・最終話】
【あとがきと人物紹介】
●ライトファンタジー●
「赤い果実と月夜のオアシス」
【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】
【第7回・最終話】 【あとがきと人物紹介】
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【3】-Viola-
環(たまき)どの、来ないな。まあ、これでいいんだけど。環どのにはしっかりと、水希を保護してもらわないと困るからね。元々応援なんて、想定してなかったんだ。
それにしてもきつい。熱い。沸騰しそうだ。もう少しで、雨は降りそうな感じなんだけど。空に雨雲が漂ってきている。でもここでやめたら、渇水を救えるほどの大雨にはならない。頑張らないと。
環どのには格好よさげなことを言ったけど、やっぱり僕は生きられないな。想像以上に消耗が激しい。でも、雨だけは降らせなきゃ。水希のためだ。せっかく最後に、僕を必要としてくれたんだから。
僕は愛を得ようとしたけど、手に入らなかった。だから、泡となり消える。それが正しい、水の種族の生き方なんだ。
人魚姫の話は、嫌いじゃないはずだった。惚れた人を救って、さらに傍にまでいさせてもらえる。好きな人の役に立って、好きな人が幸せになったのを見届けることができた。別に一番じゃなくても、好きな人の近くにいることができる。それは素晴らしいことじゃないか、そう思っていたものだ。
でも林に閉じ込められた300年で、僕は変わってしまった。人魚姫のストーリーが、大嫌いになった。報われない思いなんて最悪だ。そんな無駄な時間を過ごしている場合じゃない。とっとと好きな人をモノにして、甘い時間で日々を埋め尽くさなきゃいけなかったんだ。笑顔だけがあればいい。喧嘩している時間なんてもったいないと思った。
時間は無限に近くあるのに、僕は時間に追われていた。それは、相手の時間が有限だからだ。水希の寿命は、三桁に行くか行かないかのところで尽きてしまう。100年なんて期間は、僕にとってはほんのひとときでしかない。だからせめて、濃密な幸せを感じていたかったんだ。
僕の都合しか、頭になかった。愛を振りまくべき水が、愛を吸い取る渦巻きになっていた。
毒が効力を発しなかったのも、蟲が動かなかったのも納得できる。そんな僕ではダメだったからだ。代わりに環どのが、その対象に選ばれてしまったんだろうな。水希と環どの、思えば理想のカップルだ。美男美女で、上品同士。僕なんかとは世界が違った。
水希。かつての僕の恋人に、瓜二つのコ。彼女と「あの人」は、外見があまりにも似すぎていた。たぶん、ただの偶然じゃないんだろう。水希は「あの人」と、何らかのつながりがあるんだ。僕はもしかすると、孤独じゃなかったのかもしれない。考えてみれば、時を越えた出会いは有り得る話だ。人間は、過去を受け継いで生きているんだから。
……ぽつ、ぽつ……。
――ああ、雨だ。雨雲も充分。
よかった。約束は果たせたな。僕の生命はもう少しで終わる。せめてもう少しだけ、生きていたかったよ。……ふふ、初めてだな。積極的に「生きたい」なんて思ったの。
水希。今は邸宅にいるんだろうか。寂しいよ。ああ、僕は弱いなあ。ダメだなあ。生まれ変わったら、絶対に僕は環どのみたいな人間になろう。あの人みたいな、忍耐強いオトナに生まれ着こう。
う〜ん。なんか、幻覚が見えるな。水希が、走ってきてるみたいに見える。だんだん近づいて来てるや。これはいいな。地獄行きの前に、こんないい幻覚が見られるなんてね。
「ヴィオラ! ヴィオラっ」
最近の幻覚ってのは、やけにリアルだな。質感が生々しくて、泣けてきそうなくらいだ。
あれ? 今本当に、すごく切ない気分なんだけど。僕はどうしてしまったんだ?
ま、まさかあれ……幻覚ではない?
「ヴィオラ、死なないでっ」
顔を涙でびちょ濡れにさせた幻覚なんて、前例が無いよ。なんかスカートまでボロボロだし。こんな幻覚、暖かすぎる。優しすぎるよ。
「……う……ぅ」
声にならない声が、僕の喉から発せられる。
――水希だ。邸宅にいるはずの水希が、なぜかこんなところまでやってきた。
まだ、術は完全には終わりきってないんだよ。なんで、幻覚であってくれなかったんだ。こっちに来ちゃ、だめだ。でも僕には、言葉を発する体力が残されてない。一体、どうしたらいい。そうする間にも、水希が近寄ってくる。
――飛び込んで、くる……?
「……ヴィオラ」
こんなに僕を、抱きしめて……。
た、環どのはどこだ?! 早く水希を、僕から離してくれ! このままだと彼女は、僕の命とともに雨と化す。誰か……っ。
「お嬢様!」
環どのの声だ! よかった。水希の命は、まだ間に合う。よかっ……た――。
●続く (次がたぶんラストです)●
環(たまき)どの、来ないな。まあ、これでいいんだけど。環どのにはしっかりと、水希を保護してもらわないと困るからね。元々応援なんて、想定してなかったんだ。
それにしてもきつい。熱い。沸騰しそうだ。もう少しで、雨は降りそうな感じなんだけど。空に雨雲が漂ってきている。でもここでやめたら、渇水を救えるほどの大雨にはならない。頑張らないと。
環どのには格好よさげなことを言ったけど、やっぱり僕は生きられないな。想像以上に消耗が激しい。でも、雨だけは降らせなきゃ。水希のためだ。せっかく最後に、僕を必要としてくれたんだから。
僕は愛を得ようとしたけど、手に入らなかった。だから、泡となり消える。それが正しい、水の種族の生き方なんだ。
人魚姫の話は、嫌いじゃないはずだった。惚れた人を救って、さらに傍にまでいさせてもらえる。好きな人の役に立って、好きな人が幸せになったのを見届けることができた。別に一番じゃなくても、好きな人の近くにいることができる。それは素晴らしいことじゃないか、そう思っていたものだ。
でも林に閉じ込められた300年で、僕は変わってしまった。人魚姫のストーリーが、大嫌いになった。報われない思いなんて最悪だ。そんな無駄な時間を過ごしている場合じゃない。とっとと好きな人をモノにして、甘い時間で日々を埋め尽くさなきゃいけなかったんだ。笑顔だけがあればいい。喧嘩している時間なんてもったいないと思った。
時間は無限に近くあるのに、僕は時間に追われていた。それは、相手の時間が有限だからだ。水希の寿命は、三桁に行くか行かないかのところで尽きてしまう。100年なんて期間は、僕にとってはほんのひとときでしかない。だからせめて、濃密な幸せを感じていたかったんだ。
僕の都合しか、頭になかった。愛を振りまくべき水が、愛を吸い取る渦巻きになっていた。
毒が効力を発しなかったのも、蟲が動かなかったのも納得できる。そんな僕ではダメだったからだ。代わりに環どのが、その対象に選ばれてしまったんだろうな。水希と環どの、思えば理想のカップルだ。美男美女で、上品同士。僕なんかとは世界が違った。
水希。かつての僕の恋人に、瓜二つのコ。彼女と「あの人」は、外見があまりにも似すぎていた。たぶん、ただの偶然じゃないんだろう。水希は「あの人」と、何らかのつながりがあるんだ。僕はもしかすると、孤独じゃなかったのかもしれない。考えてみれば、時を越えた出会いは有り得る話だ。人間は、過去を受け継いで生きているんだから。
……ぽつ、ぽつ……。
――ああ、雨だ。雨雲も充分。
よかった。約束は果たせたな。僕の生命はもう少しで終わる。せめてもう少しだけ、生きていたかったよ。……ふふ、初めてだな。積極的に「生きたい」なんて思ったの。
水希。今は邸宅にいるんだろうか。寂しいよ。ああ、僕は弱いなあ。ダメだなあ。生まれ変わったら、絶対に僕は環どのみたいな人間になろう。あの人みたいな、忍耐強いオトナに生まれ着こう。
う〜ん。なんか、幻覚が見えるな。水希が、走ってきてるみたいに見える。だんだん近づいて来てるや。これはいいな。地獄行きの前に、こんないい幻覚が見られるなんてね。
「ヴィオラ! ヴィオラっ」
最近の幻覚ってのは、やけにリアルだな。質感が生々しくて、泣けてきそうなくらいだ。
あれ? 今本当に、すごく切ない気分なんだけど。僕はどうしてしまったんだ?
ま、まさかあれ……幻覚ではない?
「ヴィオラ、死なないでっ」
顔を涙でびちょ濡れにさせた幻覚なんて、前例が無いよ。なんかスカートまでボロボロだし。こんな幻覚、暖かすぎる。優しすぎるよ。
「……う……ぅ」
声にならない声が、僕の喉から発せられる。
――水希だ。邸宅にいるはずの水希が、なぜかこんなところまでやってきた。
まだ、術は完全には終わりきってないんだよ。なんで、幻覚であってくれなかったんだ。こっちに来ちゃ、だめだ。でも僕には、言葉を発する体力が残されてない。一体、どうしたらいい。そうする間にも、水希が近寄ってくる。
――飛び込んで、くる……?
「……ヴィオラ」
こんなに僕を、抱きしめて……。
た、環どのはどこだ?! 早く水希を、僕から離してくれ! このままだと彼女は、僕の命とともに雨と化す。誰か……っ。
「お嬢様!」
環どのの声だ! よかった。水希の命は、まだ間に合う。よかっ……た――。
●続く (次がたぶんラストです)●
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