妄想お化け☆ぱーとつー
えっちな表現がたまにある、ラノベ系小説を書いています。ノーマルな小説も読んでみたい方は、本館も覗いてみてください。
☆目次☆
●ローファンタジー●
「魔術師よ、私の心に雨を降らせて」
【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】
【第7回】 【第8回】 【第9回】 【第10回】 【第11回・最終話】
【あとがきと人物紹介】
●ライトファンタジー●
「赤い果実と月夜のオアシス」
【第1回】 【第2回】 【第3回】 【第4回】 【第5回】 【第6回】
【第7回・最終話】 【あとがきと人物紹介】
記事を気に入っていただけましたら、
下のバナーをクリックしていただけると嬉しいです。
Entries
閲覧は18歳以上の方でお願いします。
よろしければ、下の追記を表示からどうぞ。
よろしければ、下の追記を表示からどうぞ。
【2】-Viola-
僕は一人ってのがどうも苦手だ。あんまり一人でいると、下手すれば夏でも凍死してしまう。つーかこれ、苦手っていうレベルじゃないな。とにかく、生命レベルで孤独はヤバイ。
一人は嫌いだ。人が恋しい。人肌の温かさに包まれていたい。どうなることかと思ったけど、昨晩は渚ってコのお陰で凍えずに済んだ。
「ありがとね」
礼を言って、露になったままの彼女の乳首を軽く吸った。
「ぁ……」
薄目が開く。でも完全に目が覚めたわけではないようだ。僕が笑ったのを見ると、渚も少し笑ったような顔をした。そしてまた寝入る。
環どのは鉄の女だとか言ってたけど、そんなのは嘘だな。だって僕は、今回何もやってない。このコは僕の甘えを、ごく普通に受け入れてくれたからね。
僕は彼女を置いて、部屋を出た。そして館を後にする。
それにしても、気が重いな。今更あの呪われた林に、何の用事があると言うんだろう。水希に呼び出されたんじゃなければ、絶対に行かないところだ。
――羽蟲の音、濃い土の匂い。木々の影模様。
「ただいまぁ〜……僕の黒歴史」
自分で言っときながら、反吐が出そうだ。
それにしても水希、まさか一人で小屋まで行ったのかな。蟲には襲わないように言ってあるけど、危険がないとは言い切れない。やっぱり環どのも一緒と考えるのが現実的か。環どのを交えて、一体どんな会話が繰り広げられるんだろう。嫌な予感がする。
僕の元住居を遠目で見ると、動く人影があった。でも、一人だけだ。水希一人で来た……のか? 大急ぎで小屋にたどり着き、ドアを開ける。水希が、一人僕のソファに座っていた。他には誰もいない。
「水希さ……」
「絵画を見つけたのよ……ヴィオラ。大きい絵と小さい絵」
水希の表情が冷たい。ほんとに全部、見つけられてしまったんだな。小さい絵ってのは、写真のことだろう。水希に良く似た、600年前のあの人の写真。今でもとても、大切な人だ。
「……」
「あの女の人たちは、誰?」
「僕が今まで、この小屋で付き合ってきた人たち」
何と言えばいいのかわからない。でも僕は、もう言い逃れできそうにないところまで追い詰められている。正直なとこを言うしかない。
「でも、小さい絵だけは違う。彼女は僕の、特別な人。僕がまだ、普通の人間の皮を被っていた頃の」
あのとき僕の奇妙な境遇を語って聞かせても、水希はサッパリ引かなかった。この人は引かないという確信があったから言ったんだけど、それだけが正体を明かした理由じゃない。さらけ出したかったんだ。あの人に似た水希とは、魂が絡まり合うような付き合いをしたいと思ったから。
「その人、私にそっくりね。私のことが好きだっていうのは、その人に似ているからなの?」
「最初は、そうだった。でもあの人と水希さまは違う。最近わかったことだけど。だから……」
「言い訳はもういいわ! ねえヴィオラ。絵を全部捨てて」
「それはできない。大切な思い出なんだ。あれを全部無くしたら、僕はこの先、何を支えに生きていけばいいのかわからなくなる。水希さまの絵だってそうだ。ずっとずっと、大切にしてたい。次の時代に出会った人に、水希さまの絵を捨てろって言われたら……僕は全力で拒否するよ。とても悲しくなる」
「生きている人のほうが、大切なのではないの? 環は以前、そのようなことを言っていたわ」
「僕は水希さまのことが好きだ。それしか言えない」
「私はあなたのことなんて、大嫌いだから!」
そう言い捨てて、水希は出て行こうとした。僕は彼女の腕に手を伸ばす。
「待ってよ。ずっと、そばにいてよ。寂しいんだ」
「触らないで」
拒否、されてしまった。そんなはずはないのに。僕の毒が、効いてない? いや、確かに入ったはずだ。じゃあ蟲は? あのときあんなに、僕を求めてたんだ。ここで反抗するのはおかしいだろう。
じゃあなぜ、こんな反応なんだ? なぜ、毒が抜けてるんだ! 蟲はなぜ動かない……!
「私、わかったの。環が私にしてくれてた行為と、先日のあなたの行為の意味が」
何があったんだ。環どのか? 蟲ごと解毒されてしまった? 一体どうやって……。くそっ。やっと水希を、ものにできたと思ったのに!
「環は純粋な思いでしてくれてたみたいだけれど、あなたの行為は最低ね」
言葉にならない。確かに方法は良くなかったかもしれないが、僕は本当に、水希のことが好きだったんだ。……伝えなきゃ。
「みず……」
その時、小屋のドアがギギィと鳴いた。そしてそこから、男性が姿を現す。……環どのだ。林に潜んでいたんだな。
「お嬢様、行きましょう」
「ええ、環」
水希さまは、とても可愛らしい笑顔で環どのに答えた。そして僕に振り返り、冷たく言い放つ。
「さようなら。もう来ないわ」
「み、水希さま!」
伸ばした手は、華麗にかわされ空を切った。水希と環どのは、恋人同士みたいな笑顔で出て行く。
「一体どうしたらいいんだよ……。また僕は、一人になるのか?」
僕は呟いて頭を抱えた。
「また、何十年も……? いや、何百年かもしれない」
薬草を取りに行って、蟲と戯れて、たまに悪魔に血を売って性欲を満たして……でもやっぱり寂しくて。
「嫌だ。そんなのは、耐えられない」
追いかけなきゃ。僕は溺れるみたいにここを這い出た。そして叫ぶ。
「行かないで水希さま! 僕を好きだって、あのとき言ったじゃないか!」
二人は立ち止まった。水希さまだけが振り向いたけど、その視線はやっぱり冷徹だった。
「あのときはどうかしていたのです。私が好きなのは、環だけよ」
冷や汗が出てくる。体が震え出す。
――失敗。僕の頭にその言葉が浮かんだ。
一人きりから逃れる手段を逃したから失敗? 人間らしい感情の矛先を無くしてしまったのが失敗? いや、違う。好きな人をまた傷つけてしまった。それが失敗だったんだ。あのときと同じ。僕は600年前から、なんにも変わっちゃいない。
「……水希さまぁ〜!」
その場で崩れ落ちて、大声で泣いた。号泣ってのは、こういうのを言うんだな。
蟲なんて使わなければよかった。毒素になんて頼るから、心が疎かになるんだ。時間が巻き戻ればいいのに。もう一回、最初からやり直せたらいいのに。
ああ……こんなに涙って、出るんだ。知らなかったよ。10年分くらい泣いたんじゃないかな。
涙がやっと枯れ果てたのは、夕方過ぎ。僕は鼻水をジュルリとかんだ。
絵画も写真も置いてきてしまった。もう、心の支えは何も無い。夏でも寒さに震えて、じっと夜が通り過ぎるのを待つ生活が、今日から再開する。
もうヤケだ。悪魔にまた、血を売ろう。一瞬の快楽で、この寂しさを紛らそう。血を売ってしまったら、僕の体液の毒素がさらに強まる。寿命も若干伸びるし、余計死ねなくなるけどね……。
『なあに、寿命が延びたら自殺すればいいのよ』
寵愛する毒蟲が、精神波で語りかけてくる。カノジョは僕のフードの中から、ひょっこり顔を出した。グロッキーで可愛らしいカノジョに、僕は蟲語で話しかける。
「そんなの、怖いじゃないか。僕は痛いのはゴメンだね」
それに600年前の僕とは違って、今の僕は真っ黒だ。死んだら絶対に、地獄行きになってしまう。生きるも地獄、死ぬも地獄。だったらまだ、生きてたほうがマシなのかなって……。
●続く●
僕は一人ってのがどうも苦手だ。あんまり一人でいると、下手すれば夏でも凍死してしまう。つーかこれ、苦手っていうレベルじゃないな。とにかく、生命レベルで孤独はヤバイ。
一人は嫌いだ。人が恋しい。人肌の温かさに包まれていたい。どうなることかと思ったけど、昨晩は渚ってコのお陰で凍えずに済んだ。
「ありがとね」
礼を言って、露になったままの彼女の乳首を軽く吸った。
「ぁ……」
薄目が開く。でも完全に目が覚めたわけではないようだ。僕が笑ったのを見ると、渚も少し笑ったような顔をした。そしてまた寝入る。
環どのは鉄の女だとか言ってたけど、そんなのは嘘だな。だって僕は、今回何もやってない。このコは僕の甘えを、ごく普通に受け入れてくれたからね。
僕は彼女を置いて、部屋を出た。そして館を後にする。
それにしても、気が重いな。今更あの呪われた林に、何の用事があると言うんだろう。水希に呼び出されたんじゃなければ、絶対に行かないところだ。
――羽蟲の音、濃い土の匂い。木々の影模様。
「ただいまぁ〜……僕の黒歴史」
自分で言っときながら、反吐が出そうだ。
それにしても水希、まさか一人で小屋まで行ったのかな。蟲には襲わないように言ってあるけど、危険がないとは言い切れない。やっぱり環どのも一緒と考えるのが現実的か。環どのを交えて、一体どんな会話が繰り広げられるんだろう。嫌な予感がする。
僕の元住居を遠目で見ると、動く人影があった。でも、一人だけだ。水希一人で来た……のか? 大急ぎで小屋にたどり着き、ドアを開ける。水希が、一人僕のソファに座っていた。他には誰もいない。
「水希さ……」
「絵画を見つけたのよ……ヴィオラ。大きい絵と小さい絵」
水希の表情が冷たい。ほんとに全部、見つけられてしまったんだな。小さい絵ってのは、写真のことだろう。水希に良く似た、600年前のあの人の写真。今でもとても、大切な人だ。
「……」
「あの女の人たちは、誰?」
「僕が今まで、この小屋で付き合ってきた人たち」
何と言えばいいのかわからない。でも僕は、もう言い逃れできそうにないところまで追い詰められている。正直なとこを言うしかない。
「でも、小さい絵だけは違う。彼女は僕の、特別な人。僕がまだ、普通の人間の皮を被っていた頃の」
あのとき僕の奇妙な境遇を語って聞かせても、水希はサッパリ引かなかった。この人は引かないという確信があったから言ったんだけど、それだけが正体を明かした理由じゃない。さらけ出したかったんだ。あの人に似た水希とは、魂が絡まり合うような付き合いをしたいと思ったから。
「その人、私にそっくりね。私のことが好きだっていうのは、その人に似ているからなの?」
「最初は、そうだった。でもあの人と水希さまは違う。最近わかったことだけど。だから……」
「言い訳はもういいわ! ねえヴィオラ。絵を全部捨てて」
「それはできない。大切な思い出なんだ。あれを全部無くしたら、僕はこの先、何を支えに生きていけばいいのかわからなくなる。水希さまの絵だってそうだ。ずっとずっと、大切にしてたい。次の時代に出会った人に、水希さまの絵を捨てろって言われたら……僕は全力で拒否するよ。とても悲しくなる」
「生きている人のほうが、大切なのではないの? 環は以前、そのようなことを言っていたわ」
「僕は水希さまのことが好きだ。それしか言えない」
「私はあなたのことなんて、大嫌いだから!」
そう言い捨てて、水希は出て行こうとした。僕は彼女の腕に手を伸ばす。
「待ってよ。ずっと、そばにいてよ。寂しいんだ」
「触らないで」
拒否、されてしまった。そんなはずはないのに。僕の毒が、効いてない? いや、確かに入ったはずだ。じゃあ蟲は? あのときあんなに、僕を求めてたんだ。ここで反抗するのはおかしいだろう。
じゃあなぜ、こんな反応なんだ? なぜ、毒が抜けてるんだ! 蟲はなぜ動かない……!
「私、わかったの。環が私にしてくれてた行為と、先日のあなたの行為の意味が」
何があったんだ。環どのか? 蟲ごと解毒されてしまった? 一体どうやって……。くそっ。やっと水希を、ものにできたと思ったのに!
「環は純粋な思いでしてくれてたみたいだけれど、あなたの行為は最低ね」
言葉にならない。確かに方法は良くなかったかもしれないが、僕は本当に、水希のことが好きだったんだ。……伝えなきゃ。
「みず……」
その時、小屋のドアがギギィと鳴いた。そしてそこから、男性が姿を現す。……環どのだ。林に潜んでいたんだな。
「お嬢様、行きましょう」
「ええ、環」
水希さまは、とても可愛らしい笑顔で環どのに答えた。そして僕に振り返り、冷たく言い放つ。
「さようなら。もう来ないわ」
「み、水希さま!」
伸ばした手は、華麗にかわされ空を切った。水希と環どのは、恋人同士みたいな笑顔で出て行く。
「一体どうしたらいいんだよ……。また僕は、一人になるのか?」
僕は呟いて頭を抱えた。
「また、何十年も……? いや、何百年かもしれない」
薬草を取りに行って、蟲と戯れて、たまに悪魔に血を売って性欲を満たして……でもやっぱり寂しくて。
「嫌だ。そんなのは、耐えられない」
追いかけなきゃ。僕は溺れるみたいにここを這い出た。そして叫ぶ。
「行かないで水希さま! 僕を好きだって、あのとき言ったじゃないか!」
二人は立ち止まった。水希さまだけが振り向いたけど、その視線はやっぱり冷徹だった。
「あのときはどうかしていたのです。私が好きなのは、環だけよ」
冷や汗が出てくる。体が震え出す。
――失敗。僕の頭にその言葉が浮かんだ。
一人きりから逃れる手段を逃したから失敗? 人間らしい感情の矛先を無くしてしまったのが失敗? いや、違う。好きな人をまた傷つけてしまった。それが失敗だったんだ。あのときと同じ。僕は600年前から、なんにも変わっちゃいない。
「……水希さまぁ〜!」
その場で崩れ落ちて、大声で泣いた。号泣ってのは、こういうのを言うんだな。
蟲なんて使わなければよかった。毒素になんて頼るから、心が疎かになるんだ。時間が巻き戻ればいいのに。もう一回、最初からやり直せたらいいのに。
ああ……こんなに涙って、出るんだ。知らなかったよ。10年分くらい泣いたんじゃないかな。
涙がやっと枯れ果てたのは、夕方過ぎ。僕は鼻水をジュルリとかんだ。
絵画も写真も置いてきてしまった。もう、心の支えは何も無い。夏でも寒さに震えて、じっと夜が通り過ぎるのを待つ生活が、今日から再開する。
もうヤケだ。悪魔にまた、血を売ろう。一瞬の快楽で、この寂しさを紛らそう。血を売ってしまったら、僕の体液の毒素がさらに強まる。寿命も若干伸びるし、余計死ねなくなるけどね……。
『なあに、寿命が延びたら自殺すればいいのよ』
寵愛する毒蟲が、精神波で語りかけてくる。カノジョは僕のフードの中から、ひょっこり顔を出した。グロッキーで可愛らしいカノジョに、僕は蟲語で話しかける。
「そんなの、怖いじゃないか。僕は痛いのはゴメンだね」
それに600年前の僕とは違って、今の僕は真っ黒だ。死んだら絶対に、地獄行きになってしまう。生きるも地獄、死ぬも地獄。だったらまだ、生きてたほうがマシなのかなって……。
●続く●
1件のコメント
[C1]
- 2008-02-14
- 編集
コメントの投稿
0件のトラックバック
- トラックバックURL
- http://marbee.blog110.fc2.com/tb.php/5-2e59f8bc
- この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)






いつも読ませてもらっています!
今がんばっている人限定のサイトを立ち上げました!
小説や勉強、恋やブログなどなんでもがんばっている人だけが集まるサイトです。
がんばっている人同士励ましあい、応援しあっていけたらと思っています^^
是非小説・ブログを紹介してみませんか?
http://drime-catch.so-netsns.jp/?m=portal&a=page_user_top
いきなりすいませんでした。